「陽介…?」
そしてそのままギュッとあたしは抱きしめられた。
暖かいはずの陽介の腕の中。
でも少しだけ寂しくも感じられた。
何がどうなってるの…?
さっきのは…?
わからないまま少しの時間がたつと
「…ごめん、ケーキ食うか。」
少し寂しげな声の陽介。
どうして?
何が…
「何が…ごめんなの?」
どうして謝るの?
きっと陽介はわかっていない。
何もわかっていない。
「いや、気にすんな。それより…」
「陽介っ、あたし大丈夫だよ?」
あたしから視線をはずそうとする陽介の腕をつかむ。
遠慮なんかしないで?
あたしは大丈夫。
「沙月…?」
大丈夫だからもう、謝らないで?
「大丈夫だよ。だから…」
いつまでも我慢しないで?
想いを込めながら触れるだけのキスをした。
あたしも陽介にもっと触れたいんだよ?

