「もう一個。」
さっきあげたイチゴを食べ終えた陽介がもうひとつねだってきた。
「そんなにおいしかったの?しょうがないな~。」
陽介が、めずらしいな
なんて考えながらフォークにイチゴをさしてまたあーんしようとしたら今度は陽介に
「やだ、口移しでちょうだい。」
って…
「え!?」
「口移し。」
えええ!?
「…何で?」
「何でも。お前誕生日だろ?」
いやいやいや!
意味わかんないから!
「ほら、早く。」
そう急かす陽介の顔は余裕たっぷりの笑みで、それを見るあたしの顔はきっと真っ赤。
高鳴る胸を押さえ、先ほどさしたばかりのイチゴをフォークからはずして自分の口に含ませた。
もう一度
本当にやるの?
と目で訴えても
「早く。」
相変わらずの笑みで。
覚悟を決めたあたしはゆっくりと陽介に近づく。

