「俺、ケーキなんて食えないからお前ちゃんと食べろよ。」
ぶっきらぼうにそう言ってあたしにフォークを差し出す陽介に
「ありがとう。」
って少し微笑む。
相変わらず、ツンだけどちゃんと伝わってるよ?
「いただきまーす。」
実はあたしホールケーキをそのままつついて食べるのが夢だったんだ!
だから今すごく幸せだよ~。
「よくもまあ、そんな甘いもん食えるよな。」
「んー?」
「砂糖の塊みたいなもんじゃん?」
砂糖の塊!?
「全然違うでしょ!」
せめて生クリームの塊にしてほしい。
「しょうがないから陽介にもイチゴあげる!」
「…何で上から目線なんだよ。」
いいからいいから。
あーんってすれば
「は、自分で食える。」
なんて空気を読まない発言しちゃって…
「今日はあたしの誕生日なんだから!」
ってもう一度あーん、ってすると今度はおとなしく口を開いた。
その姿が言葉にできないくらい可愛くてあたしの胸はきゅーって…。
あたしがあげたイチゴを食べた後に
「いちごはうまい。」
ってまたぶっきらぼうに言うからあたしも少しおかしくなって笑ってしまった。

