2人を振り切って逃げてきたのはいいけれど、お昼休みはまだまだ続く。

これからの時間、どう過ごそう?

まだみんな、研究室に帰ってきてないだろうな。

こんなことなら、向こうに残っとけばよかった。

そう思いながら、研究室のドアを開くと、私の席に誰か座ってるのが見えた。

あの後ろ姿、あの金髪。

間違いない、カワサキだ。


「おかえり。」


物音に気づいたのか、私の方を振り返ってニッと笑う。

その笑顔に、その八重歯に……キュン!


「ごめん、邪魔だった?」


研究室に入ったものの、そこから一歩も動かない私を不審に思ったらしい。

カワサキが立ち上がりながら私に席を譲ろうとするから、私は必死で首を振った。


「そんなこと、ないです。」


私の必死さが伝わったらしい。

カワサキは、そう、と言うと、また私の椅子に座り窓の外を眺めている。

こんなチャンス、逃しちゃいけない。