「若菜ぁ、会いたかったよー!」


私が教室に入ると、浩実が泣きついてきた。


「いやいや、昨日も会ったでしょ。」


呆れながらも、私も嬉しいと思う。

これで、ダイキくんから解放される!


「若菜ちゃん、俺より友達なんだ……。」


私の考えは甘かったらしい。


「はぁ?何言っちゃってんの?若菜はねぇ、か――」

「ふふっ、何でもないの。浩実も友達だけど、ダイキくんも友達でしょ?」


私は浩実の口を押さえながら、ダイキくんに笑顔で言う。

それを聞いたダイキくんがニヤッと笑った。


「若菜ちゃん、やっと俺の良さに気付いたんだね。」

「いや、友達になるだけだから……。」

「って言うか、若菜。こいつ何よ?」


私の腕からやっと逃れた浩実が不服そうに頬を膨らませる。


「私と同じ研究室のハタエくん。」

「さっきは大樹くんって呼んでくれたのに。」

「はいはい、ダイキくん。」

「なんか、仲いいね2人。」


寂しそうに若菜が言ったとき、先生が講義室に入ってきた。