fall in labo〜恋する研究室〜

「若菜、昨日何してたの?」


食堂に着くとすぐに浩実が私に訊く。


「……何で?」


まさか、カワサキの家にいたなんて言えるわけない。


「昨日、大樹と一緒に若菜の家の前まで行ったけど、若菜の部屋に電気点いてなかったから。」

「えっと……、昨日は結構遅くまで学校に残ってて。」

「大変だったんだね。」


ダイキくんに同情され、ちょっと胸が痛い。


「うん、まぁ。でも、今日はすぐ帰れると思うから。」

「じゃあ、俺の分手伝ってもらおっかな。」

「うん、ヤダ。」


キッパリと笑顔で言い切る。


「えー、いいじゃん。」

「自分の研究くらい自分でしなさい!」


浩実がダイキくんをたしなめたとき、私のケータイが鳴った。


「あ、ちょっとごめん。」


席をはずしてケータイを見るが、映し出された番号を私は知らない。


「もしもし……?」


私は恐る恐る電話に出た。