私がデータ処理を終えたのは、それから1時間くらいしてからだった。

予想以上に時間がかかってしまった。

私がパソコンを片付けていると、苦しそうな咳が聞こえる。

カワサキ、まだ帰ってなかったんだ。


「先輩?」


私はカワサキの席に恐る恐る近づく。

もしかしたら、私もミナミさんみたいに冷たくあしらわれるかもしれない。

カワサキは机に突っ伏して寝ていた。


「先輩、起きてください。こんなとこで寝てたら、体冷え切っちゃいますよ?」


私はカワサキの肩を叩いて起こそうとしたが、なかなか起きない。

そのとき、私の手が偶然カワサキの頬に触れた。

異様に熱い。

熱があるんじゃない?

カワサキのおでこに手を当てる。

熱い、やっぱり熱がある。


「先輩、起きてください!ダメです、こんなとこで寝ちゃ。家に帰りましょう?」


今度は必死に揺り起こす。

その甲斐あってか、カワサキはやっと起きた。

けど、目が据わってる。