「川崎さん、大丈夫ですか?」


ミナミさんがいかにも心配ですって声で言っているのが聞こえる。


「大丈夫。」

「早く帰った方がいいですよ。明日すればいいじゃないですか?」

「もう少しだから。」

「そうですか?じゃあ私、お先に失礼します。今日はバイトなんで。」

「あぁ、お疲れ。」


カワサキが面倒くさそうにミナミさんに接してたから、悪いけど嬉しかった。

いつも定時に帰るタチバナさんは、今日ももういない。

割と最後まで残っていることが多いミナミさんも、バイトの日は早く帰る。

ダイキくんは、今日は浩実とデートだと言っていた。

今、研究室に残っているのは、シゲヤマとカワサキ、それに私だけだった。


「僕も終わったんで、今日は帰りますね。」


そう言いながら、シゲヤマは片付けを始めた。


「お疲れ様です。」

「何か質問はありますか?」

「……大丈夫です。あとは、データ処理だけなんで。」

「そうですか。では、お先に。」

「はーい、お疲れ様でした。」


とうとうシゲヤマも帰り、研究室には私とカワサキ2人きりになった。