「あっちぃ…。」



所属事務所の廊下を歩きながら、栄四郎に今日の暑さをグチる。


「…龍太、うっさい。」

「だって、この暑さは異常だろ?まだ梅雨明けしないのか?」

「知らねぇよ。」

「…冷たいのは、お前だけだな。」



すかさず栄四郎のキックが飛んでくる。


「痛ぇ!」

「なぁ、進也は?」

「知らね。」

「ふぅん。」

「社長に話があるから、先に行ってるって。」

「…知ってんじゃねぇか。」


くだらない話をしながら、ダラダラと廊下を歩く俺達。



栄四郎は、俺達のバンドメンバー。

ギターの進也、ドラムの栄四郎、ボーカルの俺の3人で、高校の時に結成した。


面倒見が良く、人当たりもいい進也。

「何を考えているのかわからない」とよく言われる俺。

常に周りに人はいるが、距離感をうまく取り、何気に一匹狼している栄四郎。



そんな栄四郎は、人との付き合いにはほとんど口を出さない。





「そういえば、ロリコンに走ったんだって?龍太。」




…出してるし。