首を縦にも横にも振らずに、ジッと下だけを見ている。
「なぁ…そうなんだろ?」
「…。」
2.3センチほど真那に近づき、なるべく優しく…を心がけて話かける。
「…もう、そいつらの事は忘れろ。今の身内は、社長だけだろ?」
そっと真那の手を取る。
「なぁ、真那。…甘えて欲しいってのは、何もねだる事だけじゃないんだ。
自分がツラい時にグチを言ったり、淋しい時に傍にいてほしいって言ったり…。
嬉しい事があったら、誰かに話したくなるだろ?そんな時は電話して聞いてもらったり…。
…俺らが普通に真那にしている事は、真那に甘えてる事なんだぞ?」
俺の言葉に、そっと顔を上げる。
涙で溢れ返った目は赤く充血していて、鼻の頭も真っ赤だった。
「…ぶはっ。」
別に笑うほどでもなかったが、その場を和ませたくてわざと笑ってみせた。
「…え?」
「いや…真那の顔…ひでぇ。」
「えっ…?」
驚いた顔から、ゆっくりと怒りの顔になっていく。
「ひ…ひど…」
俺の手を離そうとしてきたので、慌ててひっぱり、真那の体を再び抱き寄せた。
