俺の言葉に反論をなくした真那は、黙りこんだまま動かなくなっていた。
だが、ゆっくりと話し始めた。
「…甘える…。」
「そう。」
「…なんで甘えて欲しいんですか?」
「…は?」
「パパも、百合子さんも、進也さんもシゲさんも…上杉さんも。
私がどうすれば、納得してくれるんですか?」
「おい…」
「私はっ!…甘えたくてココに居るわけじゃない!」
急にわめき始めた真那に驚き、顔を覗きこもうとするが、しっかりと下を向いたままイヤイヤと首を横に振る。
「わ…私は…これ以上ないってほど…っく…」
「真那?」
「みんなにめいわ…っふっ…」
体はフルフルと震え、真那の顔から落ちた雫が畳にシミを作っていた。
「真那…ちょっとまて。」
一度落ち着かせようと、真那を抱きしめていた両手を肩に置いた。
「…がみ…」
「え?」
あまりにも小さな声だったので、近くにいても聞き取れなかった。
「何?なんつったの?」
真那は自分の髪の毛の先をギュッと掴みながら、こう答えた。
「…疫病神…なんです、私っ…」
