甘い夏  煙草の匂い




「それで、真那は今ドコに?」

「自宅にいる。」

「一人で?」

「まさか。見張りをたんまりと置いてきた。」

「ボディーガードでも雇ったんですか?」

「いや、ウチの事務所の警備員をね。時間に余裕のあるヤツを数人見繕ってきた。」

「今日はそれでいいでしょうけど、明日からはどうするんですか?」

「…しばらくは仕事を休んで、家にいてもらう。明日にでも、警察に写真を届け出ようと思っている。」


そうだ!それがいい!

こんな時に、仕事どころじゃないだろう?


「だから、お前んちにも行かないからな。」

「は?何で?」

「だから、仕事を休ませるからだ。お前んちに行ってたのも、仕事だからだろう?」


あ…あぁ~…そうでしたね。


「どうしても家政婦が必要なら、シゲさんに頼むが?」

「いえ、いいっす…」

掃除に加え炊事まで申し込んだのは、少しでも真那との接点を増やしたかったからだ。

シゲさんが嫌と言う訳じゃないけど…真那じゃないと意味がない…。




…今日のジンライムは、ほろ苦いぜ…。