甘い夏  煙草の匂い




「まぁ、ひげオヤジが退院するまでは…ね…」


本音を言えば…このままずっと一緒に暮らしたい。

…けど、まだ「恋人」のレッテルを貼られていない俺は、どう見てもただの「友人」。


「ひげオヤジかぁ…言う?」

「…言わないわけにいかないだろ。俺んちにいる事も…な。」

「だよな…。」



どちらともなく口数が減り、シーンとなったリビング。

そこへ、なにも知らないデタラメ女がハイテンションでやって来た。



「はぁい。ただいマックスぅ!元気して…た…?」


ただならぬ空気を感じ、語尾が弱々しくなっていく。


「なぁに?どうかした?」

「あぁ…お前にも、話さなくちゃいけない事が…」

「えぇ?どしたぁ?

あれ?真那はぁ?」

「寝室で寝てる。」

「ありゃりゃ。もぅ潰れちゃったのぉ?」

「お前と違うよ、アル中。」

「ひどぉい!

…あ、アル中と言えば、下でイボ爺に会ったよ。」


イボ爺とは、真那を診てくれた先生だ。百合子の専属医で、酒の事では何度も怒られている。