甘い夏  煙草の匂い




「どんな歌になるんですか?やっぱりラブソングですか?」


いつの間にか用意されていた2人分の麦茶。それを一口飲んでまたニコッと笑う。


「そうだなぁ…『真那が好きっ!』って歌にしようかなぁ…?」

「ま…またっ!そんな…」

「ん?どうした?」

「もぅ…またからかって…」


プゥと膨れたまま、下を向く。髪を耳にかける手をグイっと掴むと、目を大きく見開いて俺を見る。


「…本気だって言ったら?」

「な…何が…」

「真那への想い、歌にしたっていい…」

「そんなっ…できるわけ…」

「できるよ。」

「…!」



ウロウロと空中を飛ぶ目線は、ゆっくりと下に落ちていった。



「なぁ…毎日のように好きだっつってんのに、まだ返事貰えねぇの?」

「…。」

「俺の事、嫌いか?」

「そんな…!」

「じゃあ、好き?」

「…っ!」

「真那…こっちきて。」


掴んでいた手は離さずに、小さいテーブルの向こう側から、真那を引っ張ってくる。