甘い夏  煙草の匂い




真那の唇を味わい尽くすと「もうすぐで終わりますから、あっち行ってて下さい!」と追い返されてしまった。


仕方ない…と真那から離れて2・3歩あるいた時…

ふ…と、頭に歌詞がよぎった。


「…使えるか?」


キョロキョロと見回したが、紙も鉛筆も転がっていない。

パソコンもない…チキショ!携帯でいいか?


早く!忘れないうちに!と急いで携帯を取り出し、頭に叩きこんだメロディにのせて、詞を打ち込んでいく。






「…ふぅ」


全部…とまではいかないが、なんとなく形になった。


疲れた親指を擦りながら顔を上げると、テーブルの向かい側に座っていた真那と目があった。


「あ…わりぃ。熱中してた。」


頬杖ついていた手を外し、ニコッと笑う真那。


「いえ、素敵な曲ですね?私、覚えちゃいました。」

「曲?」

「えぇ。ずっと繰り返し、口ずさんでいましたよ?」


そう言いながら、ワンフレーズを鼻歌で歌ってみせた。


真那が歌うと、また違った曲に聞こえる。