甘い夏  煙草の匂い




「いゃ…帰って曲聞いてみるよ。いい詞が浮かんできそうなんだ。」

「そ…んじゃ、ヨロシク。」


関係者達も次々と会議室を出て行く中、『すげぇな、もう仕事人間になっちゃったよ』とヒソヒソ話をする声が聞こえる。



…スマン。成長しない男で…。




地下駐車場に停めていた車に乗り込み、急いで真那に電話した。


「はい、もしもし?」

愛しい声の後ろが、少し騒がしい。駅か?


「あ、俺。メール見た。今ドコ?」

「今、電車降りたとこです。」

「真っ直ぐ帰るんだろ?」

「え?はい。」



人に何を言われようが、非難されようが、呆れられようが…




俺は、真那が好きだ。





「今から行っていい?」

「え?ウチにですか?」

「うん。会いたい。」

「あ…会いたいって!昨日も会ったし…それに…」

「それに?」

「…いえ、なんでも…」