2人の喧嘩は、私を傷つける。
きっとこれは、作戦。そうしかない。
どうして今まで気づかなかったの?
どう見たっておかしいでしょ。
今更気づいたってもう遅い。
ほんと、自分って馬鹿だ…。
10月。あともう少しで、この苦しみから解放される…。
先生、お願いだから6年生は凛子と一緒にしないで。
次は、愛美と普通に笑えるようにしたい。


「凛」

「どしたの?」

「凛子、転校するんだって」


私は笑った。…心の中で。
凛子がいなくなる。私の苦しみがなくなる。
望んだって、凛子とは同じクラスにならない。
私は大笑いしたくなる気持ちを隠し、残念そうにした。


「どこに…行くの?」

「前の学校。凛子って、転校してきたでしょ?」

「そう、なんだ…」


どうしよう。笑ってしまう。だめ、だめ、だめ!
私って最低。でも、凛子は私を傷つけた。
別に笑ったって凛子はそう思われるほどのことをした。
私は悪くない。転校するならもう帰ってこないで!


「…凛?」

「高木、何で笑ってんの」

「笑ってなんか、ないよ?ただ、イキナリだし、そういう顔すればいいか分かんなくって。」


残念そうに言う私は、心の中で笑っていた。
もう、凛子とはさよなら!
次は私と愛美が、一緒に笑うの!