――バァン!!

勢いよく扉が開いた。
タイミング良すぎ……。

「御影ちゃん~っ!!やっぱりここに居た。もぅ~!探したんだよぅ!!」

「松山先輩!だって今日は私が昼番って言ってたじゃないですか」

この人も『恋愛応援団』の一員なんだろうか……?

「そっか、そっか。そうじゃくて!!団長が呼んでるよ~!早く早く!!」

「あっ!!でも……」

話もまだ途中なんですけど。

「?」

「どうも初めまして!栗林恭介と言います」

「二年B組、松山蘭(まつやまらん)です~!!よろぴく!もしかして、御影ちゃんの新しいオトコ?」

……なんなんだ、この異様なテンションの高さは。
俺には、到底ついていけないと感じてしまうくらい。

「なっ、違います!私と恭介はたった今知り合ったばかりで……」

しかも突然、何を言い出すかと思えば──。
御影だって困っているじゃねぇか。

「恭介……?」

「あっ」

先ほどお互いの呼び名を決めたことがアダとなるとは。
これじゃまるで俺達……。

「水くさいな〜隠すことないじゃない」

松山先輩、完全に誤解してる。

「だから〜っ!そんなんじゃないんですってばぁ」

「はいはい。後は私が聞いておくから、御影ちゃんは早く団長のとこにいってらっしゃい〜」

「……ったくもぅ」

団長?この二人の他にも部員が居るのか……。

「因みに今日の柿野団長、すごぉ~く機嫌悪かったからカミナリが落ちるのも時間の問題かも」

……『柿野……団長?』
俺の耳が悪くなければ今そう聞こえたんですけど――。

「御影……」

「何?」

「お前たちの団長?ってもしかして……」

「そっ、『柿野愛美』。今回のターゲットってわけ」

愛美姉さんは幼い頃よく遊んでもらって、すごく優しくて綺麗な人だったんだ。
中学に入ってからは俺が転校しちゃったもんだから、会うこともなくなってしまった……。
もう一度会いたくて近くに居たくて。
やっとの思いでおばさんから聞き出して、同じ高校受けたのに。

まさか……よりにもよって……。

「ターゲットって何の話?」

「先輩、知らない方が幸せかも」

俺は暫く固まったまま動けなくなっていた。