言葉が見つからない。


多分、目の前の慧に相当酔ってるんだと思う。


「あたし」

そこまで言うと慧は


静かにキスを落としてきた。



木々が風に揺られてザワザワいっている。


なのにちっとも寒くないのはもう夏がすぐそこまできているから。





長いキスを終えると


「葵はさ、いつも嫌がらないよね」


寂しそうな声。


どうしてかな?

そんな声でさえ愛おしくおもってしまう。


「慧、あたし」
「別に嫌だったらいいんだ」


つい今まで触れていた手はスッと離れて。


頬が何故か冷たく感じる。


「イヤなんて」
「でも、これからは少しでもいいから俺の事考えてみてよ」

慧の言葉にこくんと小さく頷いた。


まだ、

まだ好きなんて言えない。


いろんな問題がありすぎて

まだあたし慧の元に

いけない・・