「いいのですか、あのような言い方をされて。
本当に良かったのですか」


バックミラー越しから見える榊の視線が変に痛い。



でも


「いいんだよ」


それだけ答えて再び窓の外へ視線を向けた。


だって仕方ないじゃん。


昨日のレストランでの一件。


あんな必死な葵を見たら

やっぱりどう考えたって

俺には無理かもしれない。



「私には葵様も慧様と同じ気持ちのように見えますが」


ふん


「冗談だろ?そんな短期間で人を好きになるわけ・・」

「おや、慧様は違うんですか?」


違う・・

違うに決まってんじゃん。


俺は最初から葵を求めてたんだ。


まぁ、葵は多分覚えてないだろうけど・・