婚約指輪を君に~恋した相手は17歳の王子様!?




見覚えのある綺麗な人。


あの日と同じ黒のワンピースを着てあたしに笑顔を向けた。


「その節は助けて頂き本当にありがとうございました」


お辞儀も本当に綺麗で


これぞ日本の女性なんだっていうくらい・・


「あ、いえ。そんなとんでもない」


つい返事が遅れてしまう。


「あの時片桐さんに助けて頂かなければどうなっていたか・・」


「そんな、大げさな!」

「感謝しているんです、ありがとう」

「いえいえ、こちらこそ」


まさかあの時デパートの階段で転びそうになった人が
社長の奥さまだなんて・・

全く思ってませんでしたし。


「それでお礼と言っては何なんですけど」

「そんなお礼なんてとんでもない!!」


手をブンブンさせて必死でお断りをしようとすると

「そういうわけにはいきません。何でも受け取って頂けますか?」


・・何でも?

その言葉についピンと反応してしまう。


「何でも?」

「はい、私の気持ちなんですが・・」


気持ち?


気持ちって何?

ものではないってこと?


奥さまの言葉に色々考えていたその時


コンコン


大きなノックがニ回社長室に響いた。