はっとして横を見ると

何故か困ったような笑顔を見せる響汰。


「響汰、今あの子って・・」


どうして響汰が知ってるの?


「あぁ。俺も最初はまさかって思ったけど。
でもなんとなくまだ子供かなって思って」

「そっか・・」


やっぱり響汰も知ってたんだ。


そうだよね

いくらスーツを着てたって

成人には見えない、よね


「あの子と一緒にいたの?」


あたしの方は見ずにゆらゆら傾けているグラスをじっと見ている。


「う、うん。でもあたし」

「分かってる。俺も大人だし。葵の事は信じてるしな」


ポンポン

温かくて大きな手があたしの頭をなでる。


大好きな手。


いつも

「葵の手は小さいな~」

なんてバカにしながら、繋いでくれた大きな手。


響汰の優しさはいつだってあたしを包んでくれる。

あたしにとってとても大事な人。

じゃあ慧は?

慧はあたしにとって


「何考えてるの、あたし」
「え?」