どうして?


あたし叩いたのに。


あんなに最低な事したのにどうして此処にいるの?


どうしてそんな笑顔でいられるのよ!!


息を切らしたあたしを見て不思議そうに見る慧が。


「葵?」

何でもなかったのかのようにあたしの名前を優しく呼んだ。


「・・別に好きじゃないから」

「・・?」


「ただ、謝りたくて。ごめんって言いたくて」

「それで?」


「ありがとうって言いたくて」

「それで?」


「それで・・それで」

「俺と結婚したくなった?」

「だからあたし今言ったよね、まだ好きじゃないって」

「じゃあ許さない」


プンっと横を向いて拗ねるその顔に


「ぷっ」

思わず笑みがこぼれてしまう。


「俺、怒ってんだけど」


そんな事言って、ちっとも怒ってるように見えないのはあたしだけ?


「でもまぁ、葵が笑ってるからいいや」


さっきまでの拗ねた顔は何処へやら・・


今度は満面の笑顔であたしに笑いかける。




可愛いなんて言ったら怒るかな?


でもこんな顔が見られるなら
意外と年下も悪くないかもしれない。



そう思いながらあたしも笑顔で笑い返した。