婚約指輪を君に~恋した相手は17歳の王子様!?



「何が、俺なんかしたっけ?」


惚けたフリしたって無駄なんだからね!!


右手を出して精一杯叫ぶ。


「あたしの指輪、返してよ!!」


周りがガヤガヤ煩いけど。


そんなの今はどうだっていい。


「指輪・・してんじゃん、今」

「だから、これじゃなくて!!」


あたしが欲しいのは響汰から貰った指輪なの!


それだけで十分なの!


他の指輪はいらないの!!


しかも

「・・・いし」

「は?」

「抜けないんだってば!!」



あれからトイレにこもったり、仕事中も机の下で一生懸命抜こうとしたけど。


どんなに頑張っても抜けなくて・・


結局午後のお客様の所にも指輪をしていかなくちゃいけなくなった。


おまけに先方には

「あれ、ご結婚されるんですか?」

って言われたし・・・


「来て」

「へ?」


出しっぱなしの右手を急に掴む慧。


「来てって何処に?」

「指輪、抜いてあげるよ」


そう言うとあたしを引っ張って賑やかな学校を後にした。