「ちょっと声大きいってば!!」
しーっと人さし指を立てる。
せっかく避難所としてトイレに来たのに。
これじゃあ意味ないじゃない!
「信じらんない!高校生に手を出すなんて」
「だって記憶がないんだもん!!」
「それはあんたが飲みすぎるからでしょ?」
「その通りでございます・・・」
「呆れた」
呆れたってそこまで言わなくてもいいじゃない・・
「しかもそのガキのキスが良かったなんて」
「よ、良くないよ!!ちっとも良くないもん」
「だって逃げなかったんでしょ?」
「それは・・」
逃げなかったというより逃げられなかったという方が正しいと・・
「まぁその子がその指輪をはめたなら、
河西さんの指輪もその子が持ってる可能性があるね」
「息子が?」
こくんと頷く由紀。
「た、確かに・・」
「返してもらいなさいよ」
「でも・・」
あたし一人で行く自信ないよ・・
「あんた大人でしょ?社会人でしょ?
午後の仕事終わったら学校に行って指輪、返してもらいな!」


