「お、おはようございます!」


ぺこりと頭を下げて挨拶をする。

と、部屋がいっきに同時に騒がしくなった。

そりゃあ滅多にお会いできない社長が此処にいるんだもの、
騒いだっておかしくないよね。


昨日の事・・怒ってないといいんだけど。


「心に決めた人がいますから」


そう言って社長室から逃げたあたし。


実はあれから結構怖くてびくびくしてた。


昨日はあれから何もお咎めがないと思ってたら


まさか今日・・あたし怒られる?

ううん、怒られるどころかクビになっちゃう?


ひぇ~!!

どうしよう、まだ再就職先も決めてないのに!!



「あ、あの昨日の事ですが」

「聞いたよ、慧から。朝まで一緒だったそうだね」


へ?


「あの、それは・・」


記憶がないっていうかなんていうか・・


「慧もとても喜んでいてね。
君と結婚出来る事を嬉しそうに言っていたよ」

嬉しそうにって・・あの顔の何処が嬉しそうなのよ。

嬉しいより面白がってるだけじゃない?


「あのその事でしたら昨日お話した通り」
「それにその指輪。一昨日家内と慧で選んだものだが気に入って
付けてるみただし」



「へ?片桐が結婚?」
「マジで?」


ザワザワ


部屋中がさらに煩くなる。


こんなところでこんな話しくてもいいじゃん!!



「息子の事、宜しく頼むよ」