どうしよう

どうしよう

どうしよう!!



あたし

あんな子供ととキス・・しちゃったよ



思わず許してしまった唇に手を当てる。



甘い囁きが頭に残って離れない。

あたしを押さえつける力も体にしっかり残ってる。



「あたし、どうしちゃったのよ」


会社の化粧室に零れたあたしの独り言。


鏡に映るあたしは昨日とは違ってどんより顔。


今日は午後一でお客様の所に行かなくちゃいけないのに。


こんな顔じゃあ客どころか仕事場にも行けないって。



「はぁ~」


出るわ出るわ、さっきからため息が。


こうしてあたしの幸せはどんどん逃げていくのね。


その結果がこれなのかな。


蛇口に手をかけると、まだあたしの左手に指輪がキラキラしている。



「指輪・・絶対に外すなよ」


そう言ってあたしのアパートから出て行った息子。


どうやらこの指輪はヤツがはめたらしい。


外すなって言ったって


仕事だもの、していけるわけ・・ないじゃない。