一年後、また
クリスマスがやってきました。

「みんなー、
 サンタさんが来たわよー。」

保育園の先生がいうと、
教室にサンタが
大きな麻袋を
背負って入って来ました。

「キャー,サンタさーん、
 プレゼントちょうだーい。」

サンタさんに子供達が、
寄って来ました。
実は、このサンタさん、
白髭を付け、サンタの
衣装を着た、雄一なのです。

「さあ、皆、順番だよ、
 ちゃんとプレゼント
 あげるからねー。」

雄一の作った
動物の彫刻を袋から出し、
子供達に配りました。

「サンタさん、ありがとう。」

「メリークリスマス、
 ホーッホッホーッ。」

配り終え、外に出て、
雄一はまた、
他の保育園に彫刻を
配りに足を運びました。

「あー、歩って
 配るのは大変だなー。」

そうつぶやきながらも、
雄一の足取りは軽やかでした。

「まだまだ、
 おじいさんにはかなわないな、
 いつか、ソリに乗って、
 空から配りたいな、
 その為には、もっと、
 彫刻の腕磨かないとな…。
 俺の彫刻は動くのかなー、
 去年はおじいさんが
 いたから動いたような
 もんだもんな。」

すると、
背中にしょっていた袋の中で、
何かがゴソゴソ動きました。
それは、おそらく、
雄一の作った彫刻、

「動いたっ。
 よーし、来年は、
 トナカイとソリを彫って、
 空から配るぞっ。」

更に雄一の足取りは、
空を駆けるように、
軽やかに次の目的地へと
向かっていました。