雄一は美術専門学校二年生、
この日は、学校をサボり、
近くの公園のベンチで、
ただ、ボーッと
時の過ぎるのを待っていました。
そんな雄一の
目に映るのは、
遊具で遊ぶ子供達、
そしてホームレスの姿が、
すると、そこへ
子供達が公園の外から
やって来ました。

「おじいちゃーんっ。」

小学生位の子供達五人、
それぞれ
ゴミ袋いっぱいに入った
空き缶を担いで
入って来ました。
そして、それをおじいさんに
差し出しました。

「ホーッホッホッ、
 みんな偉いのー、
 どれ、ご褒美をやるぞ。」

おじいさんは、
ダンボールハウスから、
白い麻袋を持って来ました。
その中から、猫や犬、
キリンやライオンやら、
手のひらサイズの木彫りの
動物をそれぞれ、
子供達に手渡しました。

「やったー、ありがとう、
 おじいちゃん、
 また空き缶持ってくるねー。」

「ホーッホッホー、
 こっちこそありがとさん、
 またおいで。」

 その光景を
何気なく見ていた雄一は、
その彫刻が手作りなのか
気になりました。
丁度、おじいさんから
貰った木彫りを
手にした子供達が、
雄一の前を横切り、
去ろうとしました。

「おい、ちょっと、君達―っ。」

とっさに雄一は、
子供達を呼び止めました。

「なーに?」

立ち止まる子供達、
雄一は、木彫りの
動物に顔を寄せました。