本当に何もする気はないみたい

「ふん」と鼻から息を噴射すると、あたしはベッドに潜った

「心愛、俺はまだ心愛を抱けないよ。心愛の気持ちが、俺に向くまで、俺は抱かない」

ぼそっと陽向が呟いた

え?

「だって…あ…」

「言わないで。心愛はまだ俺を好きじゃないだろ。誰かに優しくしてもらったのが初めてだから、好きになりかけてるだけだ。二人の関係を急ぎ過ぎて、壊したくないんだ。だから、まだ抱けないよ」

陽向の優しい声に、あたしは布団をぎゅっと掴んだ

ズルいよ

そんな風に言われたら、「抱いて」ってもう言えないじゃない

陽向が好きよ

愛してるってまだ言えないけれど、嫌いじゃない

陽向に愛されたいって思ってるのに、『抱けない』なんて言わないでよ

いつになったら、陽向はあたしに触れてくれるの?

いつになったら、あたしは陽向に全てを見せてもいいの?

「心愛、泣いてる?」

「泣いてない!」

「一緒の布団でそりゃあ寝たいよ。俺だって…さ。でも心愛を大切にしたいんだ」

「あたしは抱かれたい」

「後悔して欲しくない」

「後悔なんてしない」

がさっと陽向が動く音がした

「…駄目だ。無理。付き合ってすぐ…ていうのが、俺の中で許せない」

また陽向が、背中を向けて横になった