ヤバいくらいに溺れてる

「辛いとき、いつも陽向が居てくれて…なんか、よくわからないけど、嬉しいよ。今まで、自分の生活を犠牲にして駆けつけてくれる人なんていなかったから」

あたしの言葉に、陽向の顔が赤くなった

あたしから視線をそらした陽向が、そっぽを向いたまま、あたしの頭を撫でてくれる

「身体が勝手に動いちまうんだよ」

「それが嬉しい」

あたしはにこっと微笑むと、陽向が「ごほん」と咳払いをした

「俺はずっと心愛が気になってた。寂しい目をしているのに、強がった言葉ばっかり言ってるのがわかったから。でも近づくチャンスがずっと無かった。俺、年下だし、学校の出席数もやばいし、モデルだからっていう理由で留年って格好悪い。心愛と話ができても、きっとガキ扱いされて、恋愛対象にはなれないと思ってた」

あ…あたしの名前を呼んでくれた

「俺、心愛を大切にしたい。ずっと、心愛だけを見てる。だからさ…付き合ってよ」

あたしは素直にこくんと頷いた

陽向になら、全てを見られても受け止めてくれるって気がしたから

あたしを愛してくれてるこの男になら、あたしを変えてくれるような気がした

陽向が、ふわっと嬉しそうに微笑むと、あたしの肩を抱きしめた

「良かった。ありがとう」

あたしの知っている陽向らしくない発言だ

感謝されるなんて…なんか、信じられない

でも嬉しい

誰かに心から愛されるなんて、今までなくて

名前の「心愛」って字がすごく嫌いだった

今は嬉しい

陽向に呼ばれただけで、胸がドキドキする

「あたしも…嬉しい」

あたしは、陽向の腰に手を回すとぎゅっと抱きついた