ヤバいくらいに溺れてる

「泣かれると…どうしていいか、わからねえだろ」

陽向が、ぶっきらぼうに吐き出した

「いつもみたいに、ああだこうだって強がれよ」

「だってぇ…、勝手に出てくるんだもん」

「止めろよ」

「止まらないよ」

「俺が困るんだよ」

「じゃあ、困っててよ」

「んだよ、それ」

陽向の手が、あたしの背中をトントンと優しく叩いてくれる

本当に困っているようで、「あー」とか「うー」とかうなり声をあげては、あたしの背中を叩いたり、撫でたりしていた

15分くらい涙を流していたと思う

あたしは落ち着いてくると、陽向から身体を離した

「ほんと、ごめん。こんなに泣くとは…思わなかった」

「それ、俺のセリフだっつうの」

「へへっ」

あたしは流れ落ちそうになる鼻水を、啜ると笑顔を作った

「目が腫れてるぞ」

「あんだけ泣けば…ね」

陽向が、安心したように微笑むとあたしの鼻を抓んだ

「なんで泣いたか、知らねえけど。ひでえブスになったぞ」

「煩いなあ」

あたしは、鼻を抓んでいる陽向の腕を叩いた

「陽向に感謝して泣いたのに! ブスとか言うなら、もう感謝なんかしない」

「え? 俺に感謝?」

陽向が、不思議そうに首を捻った