ヤバいくらいに溺れてる

え? なんか肩すかし?

キスしてくれるかと思ったのに

陽向は、ベッドにどすんと座ると、苛立たしげに指先をトントンと布団の上で叩いた

「学校…ごめん」

あたしは玄関で突っ立ったまま、頭を下げた

陽向の視線があたしに向く

ゆっくりと顔の筋肉を緩めた陽向が、首を横に振った

「いいよ。行かなかったのは、俺なんだし」

「ごめっ……」

「いいっつってんだろ。何度も謝るじゃねえよ…て、え?」

あたしの顔を見た陽向が、驚きの声をあげた

あたしの目から、大粒の涙が毀れていたから、たぶんびっくりしたのだろう

あたしは、慌てて涙を拭うけれど、涙は次から次へと流れ落ちて行った

「ちょ…はあ?」

陽向が、困った顔をして、ベッドを立つとウロウロと落ち着きなく歩き回った

「な…なんで、泣いてんだよ」

「知らないよ」

「泣いてんのは…あんただろ!」

「そうだけど…急に、涙が」

あたしはしゃくりあげると、手の甲についた涙のしずくを服の裾で拭いた

「泣くなよ」

陽向が、小さな声で呟くとあたしの肩をぎゅっと抱きしめてくれた

温かい胸が、余計あたしの涙を誘った