「陽向なら、裏切らないよ」

「さりげなくわが子を売り込んでます?」

「あ、ばれた?」

「バレバレです」

あはは、と桜嗣さんが笑う

あたしは頬を膨らませると、腕を組んだ

「あいつのマネ、大変だと思うけど…頑張って!」

桜嗣さんが片手をあげると、スタジオを出て行った

あたしは桜嗣さんにお辞儀をすると、手に持っているペットボトルのお茶を飲んだ

中学のとくの映像がまた、脳裏によみがえる

やめてよ

忘れたいんだから、勝手に思いださないで

嫌なのよ、あんな裏切り方をされるなんて

好きな人に告白をして、他の男たちのおもちゃにされて、この身体をけがされるなんて有り得ない

好きな人とのデートのはずなのに、待っていたのが違う男たちだったなんて……

あたしはぎゅっと手を握ると、スタジオの隅で下唇をかみしめた