あ。間接キッスだ
ワンタッチボタンで蓋をあけて、そのまま飲める水筒に口をつけている陽向から視線をそらすとあたしは、隣にいる桜嗣さんを見上げた
「ごめんな。あいつ、我儘な上に人使い荒いんだ。それに愛情表現も下手で…相手になかなか伝わらない」
「あ…いえ」
あたしは首を横に振った
「やっとできた子供だったから、つい甘やかしてしまって。莉緒ともう子供は望めないと思った矢先にできた子だったらね。陽向の我儘を許してしまうんだ」
桜嗣さんが肩をすくめると、苦笑した
「アパートの物件、いくつか探してきたんだ。これを陽向に渡しておいてくれる? たぶん、引っ越す気はないって捨てられてしまうだろうけど」
「え?」
あたしは桜嗣さんからファイルを受け取りながら、眉をひそめた
「心愛ちゃんのそばに居たいって言うと思うよ」
「は? なんでですか?」
「陽向の好きな人、知ってる?」
「知りませんよ! 知りたいとも思いません。…てか、好きな人いるんですか?」
桜嗣さんがくすっと鼻を鳴らして笑うと、あたしの眼をまっすぐに見つめた
「え? もしかして…あたし?」
「だと、俺は思ってるけど」
「有り得ませんよ! だって、あたしのこと『オバさん』って呼ぶし、あたしを床で寝かせて、一人でベッドで寝ちゃうし、今朝だってあたしのことを足で蹴って起こしたんですよ! 好きな人に対する接し方とは思えない」
あたしは勢いよく首を横に振った
「ほら、いるじゃない。好きな子にはついつい苛めちゃう男の子って」
「はあ? 度が過ぎてますってば!」
「陽向は、愛情表現が下手だから」
「いや…それにしてもあたしに対して態度が雑すぎる! それにいつあたしを知ったんですか? あたし、陽向に会ったのは昨日が初めてなんですけど」
「海堂彰吾って知ってるでしょ? 彼のパーティに何度が出席してない?」
「ああ…おじさんのパーティに。って、ええ? あそこで?」
「俺たち家族も何度か招待されてるから」
「はあ…知らなかった」
あたしは足を広げて立つと、頭をぼりぼりと掻いた
ワンタッチボタンで蓋をあけて、そのまま飲める水筒に口をつけている陽向から視線をそらすとあたしは、隣にいる桜嗣さんを見上げた
「ごめんな。あいつ、我儘な上に人使い荒いんだ。それに愛情表現も下手で…相手になかなか伝わらない」
「あ…いえ」
あたしは首を横に振った
「やっとできた子供だったから、つい甘やかしてしまって。莉緒ともう子供は望めないと思った矢先にできた子だったらね。陽向の我儘を許してしまうんだ」
桜嗣さんが肩をすくめると、苦笑した
「アパートの物件、いくつか探してきたんだ。これを陽向に渡しておいてくれる? たぶん、引っ越す気はないって捨てられてしまうだろうけど」
「え?」
あたしは桜嗣さんからファイルを受け取りながら、眉をひそめた
「心愛ちゃんのそばに居たいって言うと思うよ」
「は? なんでですか?」
「陽向の好きな人、知ってる?」
「知りませんよ! 知りたいとも思いません。…てか、好きな人いるんですか?」
桜嗣さんがくすっと鼻を鳴らして笑うと、あたしの眼をまっすぐに見つめた
「え? もしかして…あたし?」
「だと、俺は思ってるけど」
「有り得ませんよ! だって、あたしのこと『オバさん』って呼ぶし、あたしを床で寝かせて、一人でベッドで寝ちゃうし、今朝だってあたしのことを足で蹴って起こしたんですよ! 好きな人に対する接し方とは思えない」
あたしは勢いよく首を横に振った
「ほら、いるじゃない。好きな子にはついつい苛めちゃう男の子って」
「はあ? 度が過ぎてますってば!」
「陽向は、愛情表現が下手だから」
「いや…それにしてもあたしに対して態度が雑すぎる! それにいつあたしを知ったんですか? あたし、陽向に会ったのは昨日が初めてなんですけど」
「海堂彰吾って知ってるでしょ? 彼のパーティに何度が出席してない?」
「ああ…おじさんのパーティに。って、ええ? あそこで?」
「俺たち家族も何度か招待されてるから」
「はあ…知らなかった」
あたしは足を広げて立つと、頭をぼりぼりと掻いた

