あたしにどうしろって言うのよ
っていうか、どうするのか仕事が始まる前に言いなさいよ
あたしは財布を出して、自販機からペットボトルのお茶を買うとキャップをあけてごくごくと喉を潤した
「悪戦苦闘中?」
背後から聞こえてきた男の声に振り返った
おしゃれなスーツに身を包んでいる一之瀬桜嗣がほほ笑んで立っていた
「あ…桜嗣さん」
あたしは背筋を伸ばすと、ぺこっと頭を下げた
「陽向は中?」
桜嗣さんがスタジオのドアに視線を送った
「あ…はい。女性モデルといちゃつてますよ」
「あはは。陽向はモテるみたいだから」
「桜嗣さんだってモテるじゃないですか」
「まさか! 俺はモテないよ」
「またまたあ! 陽向のころは…あの手この手で女性をはべらしてたんじゃないですか?」
「いやいや、陽向のように自由じゃなかったから」
「あ…すみません」
あたしは、はっと気付くと足を止めて深く頭をさげた
十代の頃の桜嗣さんは、実の母親に監禁されてたんだっけ
自叙伝にそう書いてあったのをすっかり忘れた
「いいってば。モデルになってからも、俺、モテなかったし。莉緒が俺を好きになってくれてよかった」
「え? なにを言ってるんですか! モテてた聞いてますよ」
桜嗣さんがにこっと笑うとあたしの頭をポンポンと優しく叩いた
「モテても、オジさんになったらモテなかったっていうのが格好良い男の条件!…なあんてね」
桜嗣さんがウインクする
あたしはぷっと笑いながら、桜嗣さんと一緒にスタジオに戻る
「本当だ。陽向は、女性モデルといちゃついてる」
桜嗣さんがスタジオ内にいる陽向を見つけると、面白そうに笑った
陽向は、女性モデルから水筒に入っている飲み物を受け取っていた
っていうか、どうするのか仕事が始まる前に言いなさいよ
あたしは財布を出して、自販機からペットボトルのお茶を買うとキャップをあけてごくごくと喉を潤した
「悪戦苦闘中?」
背後から聞こえてきた男の声に振り返った
おしゃれなスーツに身を包んでいる一之瀬桜嗣がほほ笑んで立っていた
「あ…桜嗣さん」
あたしは背筋を伸ばすと、ぺこっと頭を下げた
「陽向は中?」
桜嗣さんがスタジオのドアに視線を送った
「あ…はい。女性モデルといちゃつてますよ」
「あはは。陽向はモテるみたいだから」
「桜嗣さんだってモテるじゃないですか」
「まさか! 俺はモテないよ」
「またまたあ! 陽向のころは…あの手この手で女性をはべらしてたんじゃないですか?」
「いやいや、陽向のように自由じゃなかったから」
「あ…すみません」
あたしは、はっと気付くと足を止めて深く頭をさげた
十代の頃の桜嗣さんは、実の母親に監禁されてたんだっけ
自叙伝にそう書いてあったのをすっかり忘れた
「いいってば。モデルになってからも、俺、モテなかったし。莉緒が俺を好きになってくれてよかった」
「え? なにを言ってるんですか! モテてた聞いてますよ」
桜嗣さんがにこっと笑うとあたしの頭をポンポンと優しく叩いた
「モテても、オジさんになったらモテなかったっていうのが格好良い男の条件!…なあんてね」
桜嗣さんがウインクする
あたしはぷっと笑いながら、桜嗣さんと一緒にスタジオに戻る
「本当だ。陽向は、女性モデルといちゃついてる」
桜嗣さんがスタジオ内にいる陽向を見つけると、面白そうに笑った
陽向は、女性モデルから水筒に入っている飲み物を受け取っていた

