ツギハギの恋

食事を終えて食器を洗う。
食器を洗うのはたいていあたしの係。

それはいつもと同じだけど今日は隣にひなたがいた。


「はい。ミリちゃん洗う人ね。俺は流す人ー」

「いや、狭いから」


食事を終えてもひなたは人間のままで犬の姿に戻らずにいた。
人間の姿でうろうろされると何だかそわそわして落ち着かない。


「いいから。あんた犬に戻ってなさいよ」

「今は戻れませーん。俺はしばらく人間のままです〜」

「は?」


ふざけた口調のままひなたは皿を洗う為に腕まくりをした。



「皿はいいから!何で!?戻んないの?戻れないの!?」


焦っているあたしと対照的に、ひなたは指をあたしの鼻先にツンと乗せておどけて答える。


「俺、玉ねぎ食べたでしょ?だからしばらくは人間でいないとダメなの〜」


ダメなの〜


って、コラ。


「何で先に言わないのよ!?あんた玉ねぎダメなの!?」


「大丈夫。消化したら犬に戻るから」

「は!?何それ!」



大丈夫って……

消化するまで犬に戻らないのかよ!?