ツギハギの恋

思った通り、しばらくすると空から雨粒がぽつぽつ落ちてきた。

傘なんか持ってない。

ひなたも同じ。折りたたみも持ってないだろう。



「最悪!降ってきたし!後少しで家なのに」

「中田さん家まであとどれくらい?」

「10分くらい?走れば早いけど……早く帰らないとずぶ濡れですよ!先輩は?」

「うーん……歩いて30分?」

「……30分……遠っ!」


どうやらひなたはあたしより学校から遠い距離に住んでるみたいだ。


次第に雨は強くなり灰色のアスファルトを見る見る黒くしていった。


「夢前先輩、走りますよ?あたしの家近いから!」

「や……どうせ濡れるし」

「あたしが嫌だっつーの!走って!早く!!」



あたしは家までひなたの手を引っ張り走りだした。

濡れるけどずぶ濡れよりはマシだ。


マンションの入り口に着く頃には髪から雫が落ちるほど濡れた。

制服が体に張り付いて気持ち悪いし冷たい。


結局、びしょ濡れかよ……。



「中田さんエロいね。制服濡れてブラ透けてる。黒」

「見んなよ。つーか言うなよ?」


ひなたを見ると濡れた姿が艶やかで妙に色っぽい。



お前も充分エロいんだよ。

水も滴る……って奴か。