「……ひなた……だよね?」
ドキドキしながらようやく口が開いた。
緊張で一気に喉が渇く。
ひなたは手を止めると鞄からあたしに目線を移した。
ヤバイ……。
直視できない。
見つめられると茶色の綺麗な瞳に吸い寄せられそうになる。
「名前は?」
「えっ…」
対照的にひなたは淡々とあたしを尋問していく。
「君の名前」
「あ……ミリ…中田ミリ……デス」
「中田さん?何してんの」
「えっ…」
「用があるのは机?それとも俺?」
ひなたに真顔のまま聞かれあたしは顔が赤くなっていくのがわかった。
このクソイケメンが……
恥ずかしいだろ!!
「…………じゃねーよ」
「何?」
俯きながら小さく呟いたあたしを覗き込むようにしてひなたが見る。
「テメェじゃねーよ!?」
あたしはひなたに向かってそう叫ぶと勢いよく教室から出て行った。


