風が木の葉を辺りに撒き散らした。

気がつくとあたしは一人、公園に突っ立っていた。



「嘘だ……ひなた……」


涙がポロポロ止まらない。


ひなたに触れた瞬間、ひなたの想いがあたしの中に流れた。

触れた感覚が手に残っているのに、目の前にひなたはいない。



「ひなた……あんたプーだったの?」



止まらない涙に声が震えた。

次第に息をするのも苦しくなった。



プーは本当のパパから、あたしが9歳の誕生日プレゼントに貰った犬の縫いぐるみ。

ふわふわしてて抱くと安心する、あたしのお気に入りの縫いぐるみだった。


パパとママがケンカした夜はいつも泣きながらプーを抱いて寝た。

大切な縫いぐるみだった。

それなのに……。






「あんたをバラバラにして捨てたのに……あたしに会いに来たの?」





夕暮れの誰もいない公園であたしは嗚咽を止められずにいた。