ひなたはさっきから何で人間の言葉を喋らないんだろう。
ずっと疑問だった。


もしかしてゴスロリちゃんはひなたが人間の言葉を話せたり人間の姿になれることを知らないのだろうか。


「何言ってるかわかんないけど……その犬、普通じゃないってことあんた知ってんの?」


思い切って尋ねてみるとゴスロリちゃんは真顔で答えた。


「当たり前だ。これを人間の姿にしてやったのは儂だからな」




―――は?

今、コイツなんつった?


人間の姿にしてやった?


はっ!

んなアホな。



「有り得ない!!」

「では犬が何故、人になる」

「そう言う一族だって聞いた……一生仕える主人を捜すって……」

「ふん。犬のでっちあげ。作り事だな」


ひなたはゴスロリちゃんの膝から下りるとおとなしくベンチの上に伏せた。



ちょ……ひなた、あれ嘘か!?


呆然と立ちすくんでいるとゴスロリちゃんはおもむろにひなたを撫でた。


「お前と対等に話せるようにと儂が犬を人の姿にしてやったのだ。もっともこれは犬ですらなかったが」




犬ですらない?

何それ……。

じゃあ、ひなたは何?



―――話が全く理解できない。