えーっと……

その犬、譲って下さい!?

ダメだ。なんて言ったらいいんだろう……


話し掛けたはいいが次の言葉に詰まってしまう。


ゴスロリちゃんは犬のひなたを抱き寄せるとあたしの方に体を向けて薄く笑った。


「お前、このこを思い出したかい?」



想像より低く落ち着いた声。

唐突な質問に面食らう。


ゴスロリちゃんはそんなあたしにお構いなしに話を続けた。


「このこがどうしてもお前にもう一度会いたいと言うのでな。あんまりにも真剣なのでチャンスをやったんだ……お前、このこを思い出したかい?」


「……え……」



うわー

何言ってるかわかんねー……。

その言葉遣い何キャラだよ!

やっぱ普通じゃない。



返事に困っているとゴスロリちゃんはあたしから視線を外して膝に抱いていたひなたに視線を移した。


「残念だね。お前の恋は実らなかったみたいだ」



ゴスロリちゃんの言葉にひなたは必死に吠えて何か伝えようとしていた。