ツギハギの恋

ない。

ないないないない。

ひなたの言葉があたしの頭によぎる。


飲み物を持って部屋に戻るとユリは携帯を手にしていた。
あたしが何事もなく飲み物を渡すとユリは携帯をしまいさっそく聞いてきた。



「ミリ、太陽君とどこで知り合ったの?」

「路上……」

「ナンパ?」

「違うけど……そんな感じ」

「逆ナン?」

「イヤ、ちげーから」

「ふーん……羨ましいなぁ」


ユリの笑みがあたしには意味深に見えて仕方なかった。


あっちゃんを取った余裕?
馬鹿にしてんのか?


数秒沈黙した後、ドアをカリカリと引っ掻く音と「ワン」となく犬のひなたの声が聞こえた。