前と後ろ入れ代わるとユリはちゃっかりあたしの腰に手をまわした。


「ミリごめんね。あたしニケツ慣れてなくてー」

「いいよ……案内して?」


コイツ絶対、後ろ乗る気だったわ……。


あたしはペダルを漕ぎながら背中に嫌悪を感じていた。

マジ勘弁。

つーか、あたしに掴まんじゃなくてチャリ掴んどけよ?

掴むとこ、どっかあるだろ!?



ユリの案内で数分後にユリの家に着いた。

閑静な住宅街。
3階建ての一軒家でなかなか金持ちっぽい。

あたしは3階にあるユリの部屋に通されるとユリが部屋を離れたすきに再び携帯から家電にかけた。


しかし何回かけても繋がらない。

ひなたには犬に戻っていて貰わないと困る。

ユリに人間の姿のひなたを会わせたくない……。

何かヤダ。
ユリには見せたくない。



結局、電話は繋がらないまま。
私服に着替えたユリとあたしはユリの家を後にした。