「人はな、死んだら星になるんや」


そう言ってシバは、氷のように冷たい私の手を


そっと握ってくれた。


「……なるわけないじゃん」


「それがなるんや。人は死んだら星になる」


シバがより一層、私の手を強く握った。


「……なんでや?














……なんで自殺なんかしたんや?」


シバは今にも消えそうな声で、私に尋ねてきた。


「……シバにはわからないよ。人気者で、誰からも愛されてるシバには」


もう何も感じないはずなのに、ふいに全身に温かさを感じた。


半透明な私の体を、シバはギュッと抱き締めてくれている。


「……なんでや」


私は今日の昼、学校の屋上から飛び降りた。


「俺……悔しいわ」


シバには見えるのだ。


幽霊となった私が。




シバは私の手を握っているのとは反対の手で、満天の星空を指差した。


「俺はな。いつか死んだら、あの一番でっかいシリウスになるんや」


「……そう」


「そやからな……お前は……。

お前は……その周りのちっこい星にでもなっとけ」


私はシバの腕の中で、こくりとうなずいた。


うなずくのが精一杯だった。


私の頬に、一筋の涙が伝う。



シバとはもっと


もっともっと一緒にいたかった……。










最後にシバと見上げた星空は、


言葉では上手く表せないほど


とても綺麗なものだった。











「シバ」


「なんや?」


「ありがと……」












end