□■□■ 「せいやって、きょうだいいるの?」 「うん、いもうと。今9才。のえる、っていうんだ」 「のえる?へんな名前」 オレが乃絵留ちゃんのことを知ったのは、10歳の頃。 「へんじゃねぇよ。クリスマスっていみなんだから」 「へぇー」 「あっ、あれだよ。あれがのえる」 聖夜の指差す方を見ると、グラウンドで走り回っている小さな女の子がいた。 「……のえる」 オレはあの時、天使に出会ったと思ったんだ。