下心と、青春と



杏菜を見ると、あからさまに「見つかったか」という顔をしている。


いや、今のじゃ見つかるでしょ。


一時間目の先生がやってきたのも無視して、私はほうきとちりとりを取りにいった。


「おい、遊馬、何してるんだ。もう授業は始まってるんだぞ」


「すみません先生。机の中に何・故・か!死んだゴキブリが入ってまして。今から捨てようと思いまして。あ、先生がかわりにやってくれます?」


「いや、遠慮しておく」


私はこれまた平然とゴキブリを捨てた。


机もかえたいな。


そういえば、後ろに余ってたよな、机。


私は後ろの机と自分の机をかえた。


ふと隣を見ると、悔しそうな顔をしている。


いじめには、ノーリアクションがきくのか。


結構キツいけど、これで終わるならいいか。