下心と、青春と



というか、この子、どこかで……。


金髪で長くてくるくる巻いてて目がパッチリしてる子。


「あ、この前梨太郎にふられた子じゃないか」


「私は神谷杏菜(カミヤアンナ)!お、覚えておきなさい!」


「うん」


「あら?もうすぐ一時間目が始まるわよ?早く準備した方がいいんじゃなーい?」


「あ、そうだね」


ふられた子って私が言った瞬間、彼女、杏菜だっけ?は狼狽えたけど、すぐにもとの調子に戻った。


わざわざ彼女がそんなこと言うということは、なんかあるんだな。机の中に。


それに、周りの女子が笑っている。


周りの男子は困った顔してる。


中を見てみると、黒いアレが机の中で死んでいた。


「マジかー」


黒いアレと言ったらGだ。


Gと言ったらアレだ。名前を言ってはいけないあの虫。


ああこの際言ってしまおう!


「ゴキブリだ」