「お、なんだ水梨は休みか。あぁ、連絡来てた。風邪か。珍しいな」
すっかり自分の世界に入り込んでいた私は、担任のその一言で現実に引き戻された。
梨太郎が、休み?
アイツ弁当作ってこいって言ったくせに……!
あ、いや、風邪ひいてるのに無理して来いとは言わないけどさ。
今日は、昨日よりはちゃんと授業を受けることが出来た。
ノートもバッチリ。
教科書をカバンにしまって、お弁当を出す。
「一つ余分に作ってきちゃったな……」
「あ?」
「あ、いや、梨太郎に作ってきたんだけど、今日来てないから……」
また剣之助くんが私の方を向く。
急に振り向くの、やめて欲しいな。
寿命が縮む。
「アンタ、アイツから連絡なかったのか?」

