下心と、青春と



「あのー……水梨くん、今のは一体……」


恐る恐る聞いてみる。


「あ?そのまんまだよそのまんま」


水梨くんは、私の手首をつかんでいた手をパッと放して、面倒くさそうに言った。


「いやいや、意味分からないし!私が彼女!?ふざけないで!」


「うっせえ黙れブス」


……えー。


もうキャラ崩壊にも程があるって感じだよ。


「オレが本当にお前を彼女にしたいなんて思ってるとでも?偽装だ偽装。俺達は偽装カップル」


「なんでそんなことするの?」


「虫除け。それに、お前みたいなブスが彼女なら、オレの株も上がるかも知んねえし」


なんだこいつ……。


「自分勝手にも程があるよ!」


「黙れ。お前に発言権はない。あ、オレのことは水梨じゃなくて梨太郎って呼べ。偽装がバレたらたまったもんじゃないからな」


「…………」


「そんじゃ、オレはこれで」